保全管理で設備の耐用寿命は延びる
ビル設備の大部分は法定耐用年数15年です。しかし、同じ設備機器でも保全管理の優劣によってその耐用寿命に著しい差が出てきます。
誤った運転操作や保全管理を怠ったために新設後わずか数ヵ月で使用不能になるのは例外として、統計によると事後保全のみの場合は法定耐用年数までもたないことが多いのです。
予防保全を正しく行った場合には法定耐用年数を超えても性能は低下しません。事後保全のみの場合に比べて約1.5~2倍に寿命が延びています。
この統計値は正しい保全管理の実行が設備管理にとっていかに大切かを如実に物語っています。
これらの数値を給排水衛生設備の主要機器で具体的に見てみましょう。これらの法定耐用年数は15年です。
揚水ポンプ:
事後保全のみの場合、耐用寿命は10年。正しい予防保全の場合は15年です。
汚水ポンプおよび汚物ポンプ:
事後保全のみの場合、耐用寿命はわずか5年ですが、正しい予防保全を施せば耐用寿命は15年です。
揚水ポンプでは扱う水が上水(水道水)であるため、事後保全のみでも耐用寿命は10年です。
しかし、汚水ポンプは下水などを扱うため、事後保全のみでは揚水ポンプの半分となってしまいます。
正しい予防保全を実行することによって、汚水ポンプも揚水ポンプと同じく耐用寿命が15年となります。
熱交換器:
給湯器などの熱交換器の場合は事後保全のみの場合、耐用寿命10年。予防保全では15年となります。
弁類:
事後保全のみの場合、5年の耐用寿命です。予防保全では10年となります。
弁類の法定耐用年数は10年ですが、予防保全をした場合でも耐用寿命が法定耐用年数まで至らないのは、動作を伴う弁類が消耗しやすい機器だからです。