塩素消毒の要領
水中に存在する細菌を除去、つまり滅菌(消毒)するために塩素を用います。
上水の消毒は必ず塩素で行いますが、これを塩素消毒、または塩素滅菌と言います。
そして法令上、「給水栓における水が遊離残留塩素0.1mg/ℓ以上保持するように塩素消毒をすること」とされています。
塩素は水と反応して次亜塩素酸カルシュウムやアンモニアと結合してクロラミンを生じます。これが殺菌作用をするわけです。
塩素消毒剤は多種類あり、塩素ガス(液体酸素)を水に注入するのが最も効果的ですが、塩素ガスは窒息性の激烈な猛毒ガスで、40mg/ℓ以上は危険濃度となり、操作も難しく、水道局でしか用いられまでん。
塩素消毒剤を水中に注入する方法としては、加圧式と点滴式があります。この装置を塩素滅菌器、または塩素注入器と言います。
加圧式塩素注入機は、次亜塩素酸ナトリウム溶液貯留用の薬液槽と、薬液注入ポンプで構成されます。
注入管は揚水ポンプの揚水管に接続され、薬液ポンプは揚水ポンプと連動して揚水管内で注入(混合)され、高置水槽(給水タンク)に送水されます。
点滴式塩素注入機は給水タンクの上に置いた薬液タンクに、次亜塩素酸ナトリウム溶液を貯留し、給水タンク内へ直接薬液を点滴(滴下)するものです。
市販されている次亜塩素酸ナトリウム溶液は、その有効水素が6~10%のものが多いのですが、必要注入量の計算は次のとおりです。
塩素消毒溶液の必要量[ℓ/日]
= 一日当たりの給水量[ℓ/日]× 注入塩素量[mg/ℓ]
但し、注入塩素量は一般に0.21~1mg/ℓ程度とします。
これは、この程度で給水栓における水の避難残留塩素が0.1mg/ℓを保持できるからです。
塩素消毒剤を多く注入するほど水はカルキ臭くまずい水となります。また、遊離残留塩素濃度が極端に高くなるとかえって有害性をきたすからです。
なお、ビル内で消化器系統伝染病が流行したり、ビル内の全域にわたるような広範囲の断水後に給水を開始するときや、給水設備の大規模な改修工事を行った後など、水が病原生物に著しく汚染されたか、またはその恐れがある場合には、給水栓における水の遊離残留塩素は0.2mg/ℓ以上としなければなりません。